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    • 2019.06.21 Friday
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    一定期間更新がないため広告を表示しています


    危険な暑さに視えた真のヤル気

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      JUGEMテーマ:軽度発達障害児

       

      現在フジ化学では仕事量がとても多く、毎日夜遅くまでラインを稼働しています。


      また、平日だけのライン稼働では取引先への納期に間に合わないので土曜日もラインを稼働させています。


      ラインを稼働させるには少なくても10名程の作業者が必要となり、 A型の利用者さんの協力が必要不可欠になります。


      平日の作業ではB班(10時20分から作業を開始するグループ)の作業者は当たり前のようにラインが停止するまで残業して作業をしてくれています。


      土曜日のライン稼働は仕事量により、休日の予定を急に出勤にする事が少なくありません。


      その時は A型の利用者さん数名に声を掛けて出勤をお願いしています。
      正直、私も利用者さんに急な出勤をお願いするのは申し訳ない気持ちがありますが、
      利用者さんが戦力として活躍している現場ならではの利用者さんのチカラは、運命を共にする不可欠な存在。私は利用者さんに声をかける時、
      「土曜日ライン稼働させるけど、来れる?来れたらでいいよ。無理しなくていいからね」と遠慮気味に伝えています。
      利用者さんは
      「大丈夫です。来ます!」
      「何時に来ればいいですか」
      「仕事なので来ます!頑張ります」
      と返事をしてくれます。
      声を掛けたほとんどの利用者さんが急な出勤にも対応してくれるので、本当に利用者さんに助けてもらっています。


      障がい者がここまで戦力として働き、健常者の職員を助けている現場は他にはないと私は思います。


      給料が安いとか、人が足りないとか、時間がないとか、人を育てる環境が整っていないとか、暑いとか、寒いとか、そういう事を言う人は健常者にも障害者にも、ひとりもおらず、皆 黙々と自分の守備を責任感に溢れた態度で守り抜いている姿は感動的でもあり、寧ろ危険と言われる極暑の中で、背中を滴り落ちる汗に一種の陶酔感を憶えてしまうほどです。

      小田
       


      「気づき」がなければ…

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        JUGEMテーマ:軽度発達障害児

         

        「Sさん、おはようございます。 ファイトぉ〜 ヽ(^o^)丿」

        と私が振ると

        「いっぱ〜つ!!! (^_^)/」

        とニコニコしながら返してくれるSさん。

             

         

        某飲料CMを真似たSさんと私のやりとり。

        ちょっとしたことだが通所時の彼の表情、声のトーンを観察する。

        最近、彼にちょっとした変化があった。

         

        彼は送迎の関係で朝礼開始時間には間に合わないが、

        先週の金曜日(6/15)から自主的に朝礼の体操に参加するようになった。

        身体に障がいがあるため体を動かすことが容易ではないが、

        彼なりにゆっくりと屈伸運動や肩周りのストレッチをし、

        筋力維持に取り組んでいる。

         

        朝礼と言えば、「朝礼資料読み合わせ」というものがある。

        読み合わせ資料は遠藤社長が15年ほど前に作成されたもので、

          ・6Sとは

          ・あいえすおぅ

          ・報連相と気付き

          ・気づき

          ・慎むとは

          ・マナー11条

        の6つがある。

         

        そのうち1つを取り挙げ、一週間読み、耳に、頭に植え付けていく。

        全員がすべてを理解できる、とは言い難いが、

        資料の中には社会人として身に着けておきたい、身に着けるべき事柄が多くある。

         

        今わたしが気になっているワードがある

        それは朝礼資料「気づき」の中の一節。

        「気づきが無ければ進歩はない」

         

          

            (朝礼資料「気づき」)

         

        つい先日の出来事だったー。

        休憩時間になり、Kさんが

        「加藤さん。作業している製品は小さい方がやり易いと判ったよ」

        と、何気ない一言を発した。

         

        そういえば、確かにそうだ!

        50代のKさん。職人気質で、こだわり派。

        最近では携帯電話のポイントを活用し、

        拡大鏡メガネを手に入れ、日々の作業に活用している。

        (B棟で「拡大鏡メガネ」は大流行中♪)

        いつもは「ダッチインサートナット板はめ作業」を行っている。

        溝のあるナットに拡張板をはめ込む作業で、うまくはめ込むにはコツがいる。

        昨日までは大きいナット、今日は小さいナット。

        昨日までは「なんでNGになっちゃうんだろう…」と発し、

        首を傾げることが多かった。

        それが、昨日と今日では検品していると明らかに仕上がりが違う。

        大きいナットに比べ、小さいナットの作業はNGはほぼ無くなった。

        B棟作業者は体調やメンタルの良し悪しで製品の仕上がりが違うこともある。

        それに年齢的に大きい方が見えやすく作業しやすいと言う方も多い。

        だが、それは私たちの思い込みだった。

         

          

            (拡大鏡メガネ&治具)

         

        見え方は人それぞれ。

        力も人それぞれ。

        年齢を重ねていても、拡大鏡メガネなどを使用し工夫をすれば

        小さい製品でもしっかりと見え、キレイに仕上げることが出来る。

        Kさんは小さい製品の方が作業しやすく、きれいに仕上げることが出来た…

        それを自分の力で見つけ、笑顔で報告して下さったのだ。

        殻を破った瞬間…

        まさに「気づきが無ければ進歩はない」瞬間だった。

        小さな出来事だが大きな進歩。

        自分のことのように嬉しく思えた。

        すーっと、心が晴れ渡った瞬間でもあった。

         

        こんな瞬間にまた出会えると期待したい。

         

        By かとう


        未来の担い手

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          JUGEMテーマ:仕事とは

           

           ITの進化と共に、人の手を離れる仕事について何かと話題になっています。オックスフォード大学のマイケル・オズボーン准教授は20年後までに47%の仕事が、人に変わりロボットが担うと詳細なデータを積み上げ、大胆に予測しました。

           

           仕事とはいったい何なのでしょうか?人は生きるために食料を追い求め狩猟しました。また農耕をおこない食料を調達してきました。仕事をして対価を得て、生活の糧とする。でも果たして、それだけでしょうか?

           

           先日、職業講和(キャリア教育)では、まさに『仕事とは』をテーマにさせて頂きました。また進路学習会でも保護者や教諭へ向け『NESTの取り組みと、将来、働くため』についてお話させていただきます。

           

           フジ化学から始まり、ココロネ、NESTへと受けがれた実績や取り組み、そして仕事とは『人としての成長』これは従来の温もりや優しさを求めた福祉ではなく、ひとりひとりが社会の中で強く活き続けるためのリアルな挑戦だと私は実感しています。

           

           社長からNESTの職員へと受け継がれた熱い想いと実践を、富士圏域のみだけでなく広く地域社会へと広め、発信していくことも私の努めであり使命だと感じています。 

           

           私は障がい者の就労支援に就いてきましたが、これまで幾つもの苦悩や困難、失敗も経験してきました。それは多くの方々との巡り合いであり、支え合いでもありました。これほど幸福な仕事は無いと、ご縁を頂いたことにも感謝しています。どんな社会になろうとも、仕事に誇りを持ち戦力と成る人材育成が、私の使命だと受け止めています。

           

           人が便利や効率を追求した結果が、人の仕事を奪ってしまう。

           

           将来を担う子供たちの行く末が危惧されます。

           

           未来の担い手のため・・・決して諦めはしません。

           

           

                               三浦 豊

           

           


          【フジ化学村のAという若者のおはなし】

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            JUGEMテーマ:軽度発達障害児

             

            富士宮の山奥深い里に、Aという若者がおりました。
             
            Aは大層な働き者で、昼間は会社で、帰ってからは家業の
            手伝いを毎日しているそうです。
             
            それだけでなく、食事の支度や、
            掃除、洗濯など、率先してやっているんだとか。
             
            そんなAは、同じ富士宮でも山奥の里から1時間ほど東にある、

            【ふじかがく】という会社に勤めているのでした。
            この会社には、付近の働き者があつまり普段から切磋琢磨して

            いるのでした。
             
            あるとき、工場の敷地内に小さな紙の切れ端が落ちていました。
             
            働き者が集まると言っても、それは「こうじょうでのしごと」

            という狭い範囲でのこと。
            ゴミを拾うということは誰も教えていない。
            そもそも、ゴミが落ちていないことが
            あたりまえの工場なので 、ある者は遠巻きに見たり、またある者

            は、またいだりと、誰一人として拾う者はおりませんでした。

            そこへ、部品を取りに近くを通りかかったAが
            ヒョイッと拾い上げ、ゴミ箱に捨て、そして部品を持って現場に戻った。

            その一連の流れるような
            動作を見ていた支援員はとても驚き、思わず「ありがとう!」と、

            大きな声で言ってしまった。
             
            Aはなぜ感謝されたのか判らずポカーンとしていた。
             
            Aは普段から家業の手伝いを
            やっているためか、動作に無駄が無く、作業がとても効率的。
             
            そのため、ゴミが落ちている
            ことに気が付いたら拾う、ということは当然のことであって、

            何ら特別なことでなかったよう。
             
            その後、この出来事を見ていた他のりようしゃたちも、率先して

            ゴミを拾うようになった。
             
            褒められたい一心なのか我先にとゴミ拾いをするようになった。
             
            お祭りのような、一時の盛り上がりだろうと支援員は考えていた。
            すぐに飽きるだろうとも考えていた。
             
            しかし、それは良い意味で見事に裏切られ、現在までの間、ずっと続いている。
            もし、【ふじかがく】に見学にくる機会があったら、工場や設備だけでなく、

            何気ない動作にも注目してほしい。
             

            赤池


            仕事に対するモチベーション(やる気、意欲)

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              JUGEMテーマ:軽度発達障害児

              仕事に対するモチベーション(やる気、意欲)は必ず仕事の生産、結果に表れると言われています。
               
              モチベーションを高く保ちベストな状態で作業に取り組むことが出来ればいいのですが、なかなか簡単なことではありません。これは、一般企業でも同様です。
               
              利用者さんの作業を毎日観察していると、日々の違いがよくわかります。
              作業に集中し、すばやく出来る日もあれば、利用者さん同士の言い合いから作業に身が入らない日、作業に集中していないがゆえに、多くのミスを出してしまう日などがあります。
               
              私は、利用者さんのモチベーションが低い時はすぐにわかります。
               
              フジ化学は一般企業であり多くの取引先の要望に応えながら、品質の良い製品を生産し納品しています。
              お客様は、作業者が健常者、障がい者だからではなく不適格な製品があれば、すぐにクレームになってしまいます。
               
              品質の良い製品を生産するために作業は丁寧さを要求されます、私は必要に応じて利用者さんに対して厳しく叱ることもあります。
              叱る時は、なぜダメだったのか、どうすれば良かったのかを伝えるように心がけ、叱った後は利用者さんの様子を観察して必ずフォローし小さなことでも褒めるようにしています。
               
              正直、私に叱られる事で利用者さんのモチベーションは下がります。
              私も利用者さんのモチベーションが下がってしまわないように気を配っていますが、現場に多少の厳しさも必要で、厳しさがなければ現場全体が緩い雰囲気になり不良品やミス、怪我が多発にもつながります。
               
              ただ、厳しいだけでは利用者さんも作業が嫌になり、モチベーションが上がらないので小さなことでも褒める様フォローします。
               
              これからも叱ると褒めるを繰り返すことで利用者さんのモチベーションを保ち、良い雰囲気で作業に取り組んでいきたいと思います。
               
              ところが、最近、私は利用者さんに対して「叱る」と「怒る」の使い分けが出来ないことも、利用者さんに対して「怒っただけだったな」と思う事があります。
               
              これからは、利用者さんが「なぜ」できないのか、どうしたらできるのかを考え解りやすい説明をし、1人1人に合った方法でレクチャーができるようにしていきたいと思います。

               

               

               

               

               

              小田


              きっかけ

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              JUGEMテーマ:軽度発達障害児

               

              早いもので今年も残り1ヵ月となり
              振り返ってみるとフジ化学で作業をしているA型の利用者さんが
              大きく成長したと感じます。
              特にここ2〜3年のうちにフジ化学で働き始めた利用者さんの
              wさんはフジ化学で働き始めてもうすぐ3年になり、SPG(細かい部品を掛けるグループ)の班長です。
              入社当初はラインの吊るし掛けの作業をしていましたが、

              真面目で黙々と作業に取り組んでいました。

              また、少しでも時間があれば先輩の作業の様子を見て、どんな作業があり、どの様な手順で
              作業をしているのか見ていました。
              当初は、どうにもこうにもコミュニケーションが苦手で、
              自分から質問や報告が出来ず職員から確認の声掛けをする必要がありましたが、
              きっかけがあれば必ず成長すると確信がありました。
              そんな中、現場で作業配置の変更をしたことでSPGの班長のポジションが空きました。
              spgの班長は班員への指示、部品やハンガーの段取り、ライン長への報告、質問など多くの作業があり責任感も
              求められる重要なポジションです。
              誰を班長にするか、1人1人の特徴や特性を考えながら職員で何度も打ち合わせを行いました。
              そして、wさんに班長を任せる事になりました。
              どうやら私の詠みがあたったようでした、任せられる責任感が彼を変化させたのでした。
              自分が頼りにされているという実感が人の役にたっているという自信につながってくれたのだと
              これをキッカケに彼の眠っていたポテンシャルを呼び覚ますことが出来たのかと私自身も大きな達成感と
              悦びで胸が一杯になりました。
              最初はライン長や前班長と一緒に行動して少しずつ仕事を覚えてもらいましたが、とにかく仕事を覚えるのが
              早くて驚きました。
              ある日、私が「wさんは仕事覚えるの早いね」と声をかけると、
              wさんは「SPGの班長がどんな仕事をしているか前から見ていたのでなんとなくわかります」と答えました。
              wさんは当たり前のように言いましたが、私はただただ感心したと同時に、

              wさんを班長に配置して本当に良かったと思いました。
              wさんが一通り仕事を覚えてからは班長として独り立ちして

              作業に取り組んでもらいましたが、日に日に成長し、今では立派なSPGの班長となりました。
              入社当初苦手だったコミュニケーションの部分も改善され、
              今では分からない事があればすぐに質問が出来るようになりました。
              また、指示を受けた作業が終わると必ず私に「終わりました」と報告をしてくれます。
              班員からの信頼も厚く、SPGのグループが1つに団結していて、生産数も向上し、目に見える結果も残してくれています。
              wさんは大きく成長してくれて本当にうれしく思います。wさん自信も自分が成長していると感じているはずです。
              自信と責任感をもって作業に取り組んでいるwさんの今後の更なる成長が楽しみです。

                       小田


              【習い性と成る】に向かう

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                JUGEMテーマ:仕事とは

                就労支援センターNESTには利用者さんの携わる作業がたくさん有ります。紙バンドの角を決められた角度(45度)に、従いハサミ・ニッパ等でカットする作業。ステーキハウスでプレートの油がはじかないための保護用の紙製品の折りと貼る作業。ボルトやナットの形状や傷など無いかを検品する作業。金具にゴムパッキンをはめる作業。プラスチックのバリ取り作業。様々な製品の組み立て作業。これらが施設内で実施される主な作業です。これ以外にも4つの企業に施設外支援や施設外就労として、支援員と一緒にユニットを組んで作業に出かけています。また、農業部門では農薬や化学肥料を使わない野菜の栽培を実施しています。付加価値を高める取り組みで収穫した人参は工場に出荷しジュースにし、ラベル貼りや箱折り作業を経て自主製品として販売しています。昨年の授産製品コンクールで県知事賞をいただいたとの事で、飲んでみて、とても美味しかったです。

                何故NESTでは、数多くの作業が用意されているのか。それは障がい者の多くが、子供の頃より経験や体験を積む機会が圧倒的に少なく、興味や意欲を抱く事が狭い範囲になっている傾向にあると教えていただき納得しました。様々な作業を体験し、自分はどのような仕事に就きたいか。どうすれば品質や生産性を高められるのか。工賃や給料を上げるためにはどうすれば良いのか。就労支援の奥深さを感じました。

                 

                私はプラスチックのバリ取り作業の指導担当が多いですが、利用者さんは沢山仕上げたい。早く仕上げたい気持ちが強く、部材を器から溢れるほどに入れ製品を落下させてしまうことが何度かありました。利用者さんの中には落下をしてしまった!ことが変化点となり強い動揺を引き起こす人もいて、順調な作業ペースがそこで止まってしまいます。ここで“習うより慣れよ”です。落下する原因を毎かを教え伝えはしますが、自らの身体でコツを覚える事が大切です。また荒々しくバケツに入れると跳ね返り、落下する場合もあります。「優しく入れましょう」と伝え、次もまた「優しく入れましょう」と伝えます。気がつくとその利用者さんは優しく入れる事ができているのです。

                『習い性と成る』(身についた習慣は、最後には生まれ持った性質と同じものになるということ)『習うより慣れよ』(物事は知識として覚えるよりも何度も繰り返して覚えたほうが身につくということ)

                 

                昨日と比較した今日に成長は見つけにくいと思いますが、1か月後には半年後には大きくはっきりと成長した様子を見ることができるはずです。その力になる支援員も更なる力量アップ、そして日々のスキルアップを目指します。

                 

                職業指導員 戸梶幸美

                 


                障がい者の賃金と工賃 最終章

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                  JUGEMテーマ:仕事とは
                   

                  会議や打合せとともに、一般社員が時間と労力をとられる、もう一つの大きなものが、書類作成です。1回見て終わりの、あるいは一部のヒトが見て終わりの報告書のために、残業する場合もあれば、何枚にもわたる書類を埋めるために、本務にシワ寄せがいくという、本末転倒のことも起こりえます。会社とお役所はもちろん違いも大きいでしょうが、手続きと書式に埋まっているのがお役所で、会社も下手をすると、同じ轍を踏むことになりかねません。(念のため付言しますと、お役所を批判しようというわけではありません。お役所の場合ほとんどの仕事が法令に基づくものと、重々承知しています。) 障がい者社員は、これらの煩雑(はんざつ)な業務からは解放されていることが多く、本務に専念できるチャンスは更に膨らみます。障がい者社員は、健常者社員ほど本務以外の雑務に時間をとられない境遇でいる間に、健常者社員を出し抜いてやるくらいの気概で、仕事に当たったほうが良いでしよう。その点で大事なのは、業務スキルですが、それ以上に最も大事なものが、責任感に裏打ちされた真剣さだと思います。打ち込む意志さえ確かなら、業務スキルは後からついてきます。責任感と真剣さは気質や個性とかかわっている面が大きく、あとからの学習や訓練によって簡単に身に付くものではないと思いますが、本来持っていた種を発芽させる機会に乏しく育った障がい者の場合、ヒトによっては就労後に真剣さを開花させ、仕事に結実することもありえます。そうなったら障がい者にとって、工賃を超える、充分な報酬を得るチャンスにつながります。
                   
                  憲法十四条の機会均等は、国民の間に不毛な公平さをもたらそうというものではありません。そのため、より機会の平等を担保するため、障がい者つまりハンディキャップを持っているヒトには、社会の中で様々なアドバンテージを付与するよう、関係法令が構成されています。障害者総合支援法も言ってみれば、この法体系を新たに補完するためのものと見ることもできます。制度は大いに利用され、十分機能することで、現実の制度となります。障がい者のために設計された制度なので、都道府県が中心になり工賃倍増5か年計画もすすめているところです。ただし失礼ながら、旧授産所や、いまの就労継続支援B型事業所の、低工賃を倍額にしたところで、たかが知れています。倍増計画が、より本質的な賃金体系の改善につながればと願わずにはいられません。
                  この機会を生かし、障がい者の能力開発と賃金・工賃アップの両輪が前進するよう、障がい者就労支援事業に取り組んでいきたいと思います。

                  『障がい者の賃金と工賃』 - 完 -

                  ココロネ株式会社 就労支援センターNEST
                  代表取締役社長  遠藤 一秀

                   


                  障がい者の賃金と工賃 No.3

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                    JUGEMテーマ:仕事とは

                    仕事の種別や職種の上での比較とは別に、障がい者ゆえに生産性で優れている場合もあり得ます。そのことについて決してうがった見方ではなく、現場業務の実際から導き出せるものとして触れてみたいと思います。正規あるいは準社員となった障がい者がいたときに、では、その会社での当人の扱われ方はどうかというと、正規とはいえ、能力的に限られていると見られがちで、全面的に業務に参与することが少ないのが通例だと思われます。このことは、障がい者社員が担当業務に打ち込む時間と労力集中を保障してくれることになります。
                     
                    どういうことかと言いますと、まず社内会議に出なくてよいか、出る回数が少なくて済みます。一般社員の場合、会議や打合せにとられる時間が本当にばかになりません。コミュニケーションといえば聞こえがいいのですが、ポストによっては日中の時間のほとんどを社内会議や社内外の連絡調整に追われ、生産性のある仕事は夜間超勤してこなすことになります。こう言いますと、会議や連絡調整も立派な業務だと反論を受けそうですが、かなりの部分を省略できるものと思われます。何故なら目的意識を明確に共有している社員同士なら、また社内で連携プレイのスタイルが確立しているなら、日常的に会議等の時間を設定する必要はさほどないはずです。問題が発生してからどう解決するかを詰めるために、意思疎通に大きな時間を割くことが往々にしてありますが、社内処理の効率が低いと言われても仕方ないケースになります。幸か不幸か障がい者社員の場合、こういったクビキ(足かせ)から解放されていることが多く、真摯(しんし)さと志気さえあれば、担当業務に専念できる時間が大きいと思われます。こういう立場を利用して、半端な健常者に差をつけることが可能な場合もあるでしょう。

                    ココロネ株式会社 就労支援センターNEST
                    代表取締役社長  遠藤 一秀

                    障がい者の賃金と工賃 No.2

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                      JUGEMテーマ:仕事とは
                      かつての農村や漁村には、「相互扶助」という制度があったことは、年配の方ならご存知かと思います。田植え、稲刈り、あるいは、地引き網、追込み漁などの際は、部落の老若男女総出で、共同作業にあたり、この中には、いまで言う障がい者や年少者も含まれていました。参加した者は、一区切りつくごとに、収穫物や漁獲物等の中から食い扶持(くいぶち)、いわば分け前にあたるものを給されていました。当然、参加した障がい者も、食い扶持を分けてもらっていたでしょうから、これは間違いなく報酬と言っていいでしょう。かつて障がいを持った人々がどんな生業と報酬のもとで暮らしていたかの一端に触れましたが、このうち、あんま・はり・きゅうの三療、最近では正式には医業類似行為と呼ぶものについては、ほんの30〜40年前までは、障がい者、とくに目の不自由なヒトの専業同然でありました。中には施術所を構え、並みのサラリーマンでは及ばない収入をあげていたヒトもおりました。その後、健常者の医業類似行為への進出が盛んになる一方、労働市場の多様化で、障がい者の働く場も拡がってきました。障がい者全般にとってみると、必ずしも恵まれた職域拡大ではない面もありましたが、障害者自立支援法施行後は、従来の福祉工場や授産所等とは異なり、工賃の位置づけや規定が法的に整備されるとともに、支援事業者が利用者(障がい者)に支払った工賃(賃金)について都道府県への報告義務が設けられました。これに伴い、平成19年度からの5年間をかけ、都道府県と産業界とが協力してすすめる、工賃倍増5か年計画も策定されました。
                       
                      私が代表する2法人のうち、フジ化学については、障がい者社員も一般就労者となっておりますし、ココロネ()についても、就労継続支援A型事業所については、労働基準法が適用されますので、最低賃金以上の賃金を支払っております。また就労移行支援事業所と就労継続支援B型事業所に関しては、工賃に結びつく生産活動等について、提携先の拡大や自主事業の開発に取り組んでいます。景気の情勢は楽観を許さないものがありますが、それゆえ一層、自主事業の開発に本腰を入れ、利用者である障がい者が安定して工賃を得られるよう、努めていくつもりです。

                      四半世紀にわたり障がい者を雇用し、障がい者とともに働いてきた自分の経験から総合すると、障がい者が得る工賃については、健常者に引けをとらない額を保障するのが当然であり、仕事や職種、あるいはポストも必要だと思っています。たとえば、フジ化学には、メッキ対象部品をハンガーに引掛ける作業がありますが、これなど、時間当たりの生産性でいえば、健常者と同等・同量の実績をあげている障がい者社員もいます。この場合、賃金もその生産性に見合ったものにするのは当然です。当社の例ではありませんが、数値処理にすぐれていてパソコンを通してのデータ入力に能力を発揮している自閉症のヒトもいれば、対人のコミュニケーションは苦手でも文章作成能力にひいで会社で重宝がられている発達障がいのヒトもいます。これらのヒトが、同様の仕事をしている健常者と、賃金面でも同様の扱いを受けるのは、これまた自然なことです。

                      株式会社ココロネ 就労支援センターNEST
                      代表取締役社長  遠藤 一秀

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